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コールドスリープ

新年明けましておめでとうございます。

 

2019年、今年になって既に11人近い人が、お餅を喉に詰まらせて病院に搬送されているのだとか・・・これは都内だけです。私も気を付けないといけません。何しろ数年前から食べ物や飲み物が、飲み込辛い時があるからです。歳はとりたくないですね、しかし取らない訳にもいきません。

 

色々な所を患ってくると、何かと制限がつきものです。食事の制限だとか、食べたいものもまともに食べられない。そのかわり、一日に服用しなければならない薬の類は年々増えて、軽い食事並みの量になっているとか?薬なのか食事なのか・・・分からなくなってきます。

 

ここからは、とある老人のお話になります。この老人は「生きる事すら面倒だ」と思い始めておりました。目はだんだん見えづらくなり、痩せているにもかかわらず体が重くなり、トイレは近くなり、金も無ければ、やりたい事も無い。毎朝目が覚める度に、ため息がでます。今朝も重い体を引きずるように、トイレへ行き、用をすませ、何気なく玄関の方を見ると、郵便受けに投函されたチラシが散乱していました。

 

片付けていると、何やら怪しいチラシを発見する。

「コールドスリープ承ります」「今なら、無料!」

でかでかと書かれたその文字だけは、なんとなく分かった・・・

(私なら、即ゴミ箱行きなのだが・・・)

この老人は、殊の外食いついた・・・何故?

 

理由と言えば、毎日寝起きしなくて済む。年金暮らしなので、眠っている間家賃は自動引き落としにして、電気と水道は止めてしまい(ガスは無い)、浮いた生活費で美味いものでも食べに行こう。一年くらい眠っていれば、ちょっとした蓄えくらい出来るだろう・・・とゆう事らしい。久しぶりに胸が躍るような、生きる希望が湧いてくるような、そんな気がした。

 

敷きっぱなしの布団の下に隠した、へそくり(家族居ないのに?)を握りしめ、タクシーに乗り込みチラシを見せて

「この住所に行ってくれ!」

研究所らしき建物に着くと、チラシを見せて

「お願いします!」

随分歓迎されて、博士らしき人から説明を受けたが当然よく分からない。理由も聞かれたが、そこは

「自分も歳をとった。来年また孫達の顔を見るまでは、生きていたい」

などと最もらしい事を言って、(孫、居ないのに)トントン拍子でコールドスリープされた。

 

数か月後・・・

解凍する日が来た。間違えた!蘇生する日だ!・・・試みるも老人は蘇生せず、実験は失敗だった。って実験だったのか?後ほど、これらの施設は閉鎖され、博士は捕まった。老人の死因は凍死だったとゆう・・・(他にないだろ?)

 

しかし、老人は天国へ帰ったそうだ。本来なら、良い事もせず、かと言って悪い事もせず。プラスマイナス0と言った、非常に微妙な状態で、やさぐれた結果やけを起こして、人様に迷惑をかけるよりは、少しだけ良い事をした。悪質な研究の摘発、と医学の進歩に少しだけ貢献した。ここにある設備では、失敗する事を証明したのだ。」

って、どっからカッコだったんだよ!もういいぜ!